クレープの歴史

起源

クレープ (crepe) の起源はフランス・ブルターニュ地方発祥のガレット (Galettes de sarrasin) とされています。ガレットはそば粉を使い、食事として供されます。ブルターニュ地方はフランス北西部にあり、イギリス海峡と大西洋に付き出た国内最大の半島です。現在では漁業や農業の盛んな地域ですが、かつては小麦粉の栽培ができないほど土地が痩せていました。そんな中、12世紀頃に十字軍によってもたらされたそば粉は痩せた土地でも良く育つことから、そばはブルターニュの人々にとって貴重な作物となりました。当時は、そば粥やそばがきとして食べていましたが、ある時、そば粥を焼けた石の上に落としたところ、香ばしく焼け、薄いパンのような固まりが出来ました。これがガレットの始まりです。ガレットの名前は、フランス語で「小石」を意味する「galet (ガレ)」から名付けられました。

クレープの登場

17世紀、フランス国王ルイ13世の妻であるアンヌ王妃がきっかけでクレープが生まれます。王妃がブルターニュ地方を訪れた際に、庶民の主食であるガレットを食べたところ非常に気に入り、さっそく宮廷料理に取り入れたのです。その後、生地の材料のそば粉が小麦粉に変更され、牛乳、卵、バター、砂糖なども加えられた新しいガレットに似た食べ物が誕生します。この甘い食べ物は生地がちりめん状に焼き上がることから、「ちりめん」を意味する「クレープ」と呼ばれるようになりました。19世紀になると、肥料の改良が進み、ブルターニュ地方でも小麦の栽培が始まり、小麦粉のクレープが広がっていきます。


参考文献

  • 中村勇、2008、『おいしいスイーツの辞典 甘く、かわいいお菓子のストーリー』 成美堂出版
  • 猫井登、2008、『お菓子の由来物語』 幻冬舎ルネッサンス
  • 大森由紀子、2014、『ベーシック・フレンチ 地方のおそうざいレシピ ビストロ&ブラッスリーの定番料理』 世界文化社